特定非営利活動法人コモンズ|「吉野川流域住民の意見を聴く会」への ファシリテータ派遣についてのコモンズのスタンス
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コモンズそれは新しい公共を意味する言葉

私たちは、新しい公共による豊かな 公共空間の実現を目指し、 まちづくりの専門家による第三者組織 として、公共空間の整備等における 市民参加と合意形成の支援、 市民と行政のパートナーシップによる まちづくりの実現に向け活動を行う NPO法人です。

スタンス

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「吉野川流域住民の意見を聴く会」への
ファシリテータ派遣についてのコモンズのスタンス

2006年6月30日
特定非営利活動法人 コモンズ

 2006年5月23日付で国土交通省徳島河川国道事務所よりコモンズに対して、「吉野川流域住民の意見を聴く会」(以下、「住民の意見を聴く会」)へのファシリテータの派遣要請がありました。以後、1ヶ月余りにわたり内部での協議、国土交通省とのやりとりを経て、6月30日にファシリテータの派遣を受諾することを決めました。

 国土交通省との文書のやりとりは、ホームページでご案内しているとおりですが、コモンズの「住民の意見を聴く会」に対する認識とスタンスについて述べたいと思います。

 コモンズは「新しい公共」による豊かな公共空間の実現を目指し、まちづくりの専門家による第三者組織として、公共空間の整備等における市民参加と合意形成の支援、市民と行政のパートナーシップによるまちづくりの実現を目的とした活動を行うNPO法人です。

 私たちは、吉野川の将来のあり方を考える上で、「多様な視点や価値を掘り起こすこと、多様な視点や価値の存在を認めあうこと、そして、それらの人々に望ましい計画を地域の総意でつくること」が大切だと考えています。

 「よりより吉野川づくりを目指して(国交省徳島工事事務所、H14年1月)」では、「徹底的なPI(パブリック・インボルブメント)」のもと、「検討の場」が確保すべき要素として、「中立性」「公平性」「公開性」「客観性」のほか、「透明性」の重要性が指摘されています。この指摘について、私たちは大いに評価しています。

 しかし、2006年5月23日付で国土交通省より発表された吉野川河川整備計画の検討の枠組みは、「公開性」や「透明性」が十分に感じられるものではなく、唐突とも言える形で示されました。その枠組みに示された「住民の意見を聴く会」のファシリテータ派遣要請に対して、どのように対応すべきか、2つの方向性について検討しました。

 一つは、検討の場が示されるまでの手続きに対する疑問です。検討の場のあり方を考える「準備会」の設置や、「流域委員会」による検討を求める意見もあるなか、今回示された検討の場の手続きについて、進め方のルールや関係者による合意が明確ではない状況にあります。このような状況で、意見を聴く会のファシリテーションを引き受けても、流域住民の多様な意見を得られるかどうかが懸念されました。

 もう一つは、既に示された枠組みの中で、自分たちに何かできるかを問いかけることでした。吉野川は、流域住民に対し治水・利水・環境・利用・社会・文化・風土・生活・教育等の全般にわたり、多大な恵みとともに、洪水などの脅威を与えてきました。また、無堤地区や内水問題、環境保全など、解決を急がなければならない課題も存在しています。こうした課題を解決し、よりよい吉野川づくりを目指していくためには、先述した通り「多様な視点や価値を掘り起こすこと、多様な視点や価値の存在を認めあうこと、そして、それらの人々に望ましい計画を地域の総意でつくること」が大切になります。そのためには、「中立性」「公平性」「公開性」「客観性」「透明性」が確保されたコミュニケーションの場が必要となり、コミュニケーションを成立させるためのファシリテーションが重要となります。そこで、既に示された枠組みである「住民の意見を聴く会」を流域住民と事業者・河川管理者である国土交通省とのコミュニケーションの場とすることで、よりよい吉野川づくりの一歩を踏み出すことができないだろうか、という考え方です。

 既に示された枠組みが変わらないと判断される状況で、最終的に選択したのは後者の立場に立つことでした。「住民の意見を聴く会」を民主的に運営し、流域住民の方々が持つ吉野川への様々な思いを可能な限り拾い出すこと、そして、流域住民と国土交通省のコミュニケーションの担い手となることができるよう、ファシリテータの中立性・独立性の担保を強く求めました。また、「住民の意見を聴く会」が民主的なルールに基づき進められるよう、グラウンド・ルールの策定を要望しました。そして、私たちの求めた条件は全て国土交通省に受け入れられたことから、「住民の意見を聴く会」へのファシリテータ派遣を受諾することになりました。

 これから、グラウンド・ルールに基づき、意見を聴く会のファシリテータの役割を担うことになります。流域住民の皆さんの吉野川に関する多様なご意見を、可能な限りお聞きするとともに、流域住民と国土交通省のコミュニケーションが上手く成立するよう心がけたいと考えています。関係する皆さん方のご協力を頂ければ幸いです。

 尚、意見を聴く会のグラウンド・ルールは、流域住民の皆さんとともにつくり、会を円滑に進めるとともに、皆さん方のご意見が河川整備計画にどのように取り上げられたかを知るための保証となるものです。公表からの時間が短く、皆さんに十分に理解し、合意していただいているとは思っていません。グラウンド・ルールについても多様なご意見を賜り、よりよいルールにしていければと考えています。